3月8日、3・11を前にして予算委員会で脱原発、原発ゼロの日本、再生可能エネルギーの拡大をめざして質問しました。その概要を紹介します。●が私です。
●今年は東日本大震災、東電福島原発事故(2011年3月11日)から10年の節目の年。3・11に向けてテレビや新聞、雑誌で特集が組まれている。静岡新聞(3月4日付)ではドイツの環境大臣が「2011年の福島原発事故を受けて11年6月にG7で初めて脱原発を閣議決定して以降『脱原発が全く支障なく進んでいる』『22年末に全17基の原子炉廃止が計画通り実現する』と自信を示している」と報道されていた。
翻って福島原発事故を目の当たりにした日本の政府はどうか。相も変わらず「原発安全神話」にしがみつき、財界の意向を受けて原発を「新成長戦略」と位置付けて再稼働や新増設を狙っている。政府の実行計画では「原子力については技術的に確立した脱炭素技術として持続的な原子力の平和利用システムを構築する」と原発の永久化を位置付けている。
その通りで、関西電力は新聞全面広告で「CO2ゼロでつくる新しい社会」として「発電時にCO2を出さない原子力発電を、安全最優先で運転し、原子力発電の電気や熱をゼロカーボン水素の製造にも利用していく」を書いてある。「脱炭素」「持続的なシステム」を口実に原子力に依存しようとしている政府の方針どう評価しているか。
(→小島地球温暖化対策室エネルギー政策部長)本市では、H24年3月、「原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換と再生可能エネルギーの普及拡大に関する決議」をいただき、市政運営の根幹と位置づけている。H24年度から、一貫して国や関西電力に対して、原子力に依存しない持続可能で安心安全な電力供給体制の早期の実現、できるかぎり早期の全廃に向けた抜本的なエネルギー政策の転換を求めている。
●現実は、若狭湾の原発群の15基の中で廃炉を決定したのは7基、稼働しているのは大飯原発4号機のみ。ところが、政府はエネルギー基本計画において原子力を含んだ「ベストミックス」論に固執し、2030年目標を再エネの全体比率を22%~24%、原子力を20%~22%、火力を56%にしている。原発に依存しており、このままでは再生可能エネルギーの飛躍的拡大はあり得ない。
(→小島部長)国の第6次エネルギー基本計画の検討が進められている。本市は脱原発依存の立場を明確にしながら、国に対して働きかけを行っている。また門川市長を会長とする指定都市自然エネルギー協議会等を通じて、自然エネルギーによる持続可能な社会の構築にむけ働きかけを行っている。
●原子力の全体比率20%~22%を達成しようと思えば、現在停まっている原発すべてを稼働させ、さらに新しくつくり、40年を超えた老朽原発も稼働させなければできない。原子力に依存しないという立場なら、これは大きな矛盾である。
昨年12月に大阪地裁が関電大飯原発3・4号機について、現在の規制基準に基づいて規制委員会の審査過程の判断に誤りがあったとして設置許可を取り消す判決を下した。他の原発の設置許可にも影響する画期的な判決。ベストミックス論の誤りを認めて、再稼働の中止を求めるべきではないか。
(→小島部長)国のエネルギー基本法では、エネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、実施する責務は国が有していると定められている。国において、安全性を大前提に安定供給、経済性、環境の原則を守るという方針が出されている。国において適切に判断するよう求めていきたい。
●再稼動は必要との認識なのか。
(→小島部長)国において適切な判断を求めていく。
●原発ゼロの立場でなく「脱原発依存」というが、「将来的に依存からの脱却」でいいのか。火力発電は運転を停めたら安全になるが、原発は運転を停めた後も電気を使い、水でウラン燃料を冷却し続けなければならない。原発は地震が起きて停電や断水になれば大きな事故やトラブルを引き起こす。一般住宅は震度6強から7にかけての地震(およそ1500ガルの揺れ)に耐えられるように建築。原発の建屋や原子炉の構造はその基準だが、断水や停電を引き起こすには700ガルの地震で十分と言われている。そしてこの程度の地震でメルトダウンの大事故の可能性も高い。2000年以降、1000ガル以上の地震は17回、700ガル以上の地震は30回以上起きている。地震列島という日本の現実を直視したら「将来的脱却」ではなく、ただちに再稼働の中止と原発廃炉こそ必要である。
(→小島部長)原子力発電に依存しない、持続可能で安心安全な電力供給体制を早期に実現するためには、再生可能エネルギーの飛躍的拡大が重要。あらゆる機会を通じて国に働きかけていきたい。
●原子力に20~22%も依存しながらでは、再生可能エネルギーの飛躍的拡大に集中できないではないか。
(→猪田担当局)H24年3月の市会決議を重く受け止めている。エネルギー政策の抜本的転換が重要であり、一方でエネルギーの安定供給のために、原発を再稼動する場合でも必要最低限で、安全性の確保が大前提であるとの立場に立って、国に対して働きかけていいたい。
●市民連合のみなさんが提案している野党共同政策案のなかには、「原発ゼロをめざす」の項目が入っている。また野党4党は「再稼動中止、原発ゼロをめざす」法案を共同提案している。自治体からも声をあげるべき。
●その上で、再生可能エネルギーの飛躍的拡大をめざすために、市民的に再エネ移行へのインセンティブを発揮するために何が必要か。
(→小島部長)市民のみなさんに再エネ拡大の必要性をわかりやすく周知し、経済的な費用の軽減、民間事業者の活力の導入を検討、実施していきたい。来年度、再エネの補助制度の見直し、スケールメリットをいかしたグループ購入事業、0円ソーラーの設置など、選択肢を示していきたい。
●買い取り価格の引き下げが意欲を失わせている。買い取り価格の引き上げによる再エネの普及、売電で経済的にも潤う仕組みを再構築するよう国に求めて頂きたい。
また、「櫂より始めよ」である。本市施設での再エネ設置の計画と決意は。
(→小島部長)固定価格買い取り制度については、設置導入費用が低下しており、年々引き下げられている。太陽光発電の普及に配慮した買い取り価格となるよう国に要望していきたい。今年度内に、京都市公共建築物低炭素仕様を改定する。再エネ利用設備の導入拡大、市内産木材の利用拡大等、環境負荷の低減に取り組んでいく。
●国や他都市を上回る野心的な取り組みを求めておく。